デンマークの「ペダゴー」と日本の保育士との5つの違い・年収・資格要件

「世界一幸福な国」の一つとして知られるデンマーク。その福祉と教育の根幹を支えているのが、「ペダゴー(Pædagog)」という専門職です。

日本ではまだ馴染みの薄い言葉ですが、実は日本の「保育士」とは似て非なる、非常に高度で広範な役割を持つ職業です。

本記事では、デンマークの国家資格であるペダゴーについて、その独自の教育哲学、日本の保育職との比較、そして年収やなり方までを網羅的に解説します。

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目次

1. ペダゴー(Pædagog)とは? 基礎知識と定義

1-1. 言葉の意味と定義

ペダゴー(Pædagog)は、デンマーク独自の国家資格を持つ「社会教育専門職」です。

その語源はギリシャ語の「パイダゴゴス(子どもを導く者)」に由来します。

かつては子どもたちに寄り添い、生活の規律やマナーを教える役割を指していましたが、現代デンマークにおいては「人としての成長(Bildung / Dannelse)を支援する専門家」と定義されています。

1-2. 活躍の場は「ゆりかごから墓場まで」

日本の保育士が主に「就学前の子ども」を対象とするのに対し、ペダゴーの対象は全世代に及びます。

  • 0〜5歳: 保育園・幼稚園(Vuggestue / Børnehave)
  • 6〜18歳: 学童保育・青少年クラブ・学校
  • 成人・高齢者: 障がい者居住施設・薬物依存更生施設・高齢者ケアホーム

デンマークでは、これら全ての現場で働く職員の約60〜70%がペダゴーの資格保持者であることが求められています。

参照リンク:

2. 日本の「保育士」と「ペダゴー」の5つの違い【比較表】

最大の違いは、ペダゴーが「アカデミックな専門職(学士)」である点と、「教育」に対するアプローチです。

比較項目日本の保育士デンマークのペダゴー
必要な学位専門卒・短大卒が主流専門職学士(Professional Bachelor)
※3.5年間の大学教育が必須
対象年齢主に0〜6歳0歳〜高齢者まで全年齢
役割の重点お世話・しつけ・安全管理発達支援・対話・社会性の育成
労働環境長時間労働になりがち・配置基準が低い週37時間労働が基本・強力な労組による権利保護
教育哲学集団行動・規律個の尊重・民主主義・クリティカルシンキング

ペダゴーは「先生」として教えるのではなく、「伴走者」として隣にいる存在です。上下関係ではなく、対等な人間関係を築くことが最優先されます。

3. ペダゴーの根幹にある哲学「共通の第三者」

ペダゴーを理解する上で外せないのが、独自の対人援助メソッド「共通の第三者(The Common Third / Det fælles tredje)」です。

「共通の第三者」とは?

通常、支援の現場では「支援する人(ペダゴー)」と「支援される人(子ども)」の二者関係になりがちで、そこにはどうしても権力(パワーバランス)が生じます。

これを解消するために、二者の間に「共通の興味対象(第三のもの)」を置く手法です。

  • 第一の要素: 私(ペダゴー)
  • 第二の要素: あなた(子ども・利用者)
  • 第三の要素: 活動やモノ(サッカー、料理、音楽、焚き火など)

二人が向かい合うのではなく、「二人で並んで、同じ第三のものを見る」ことによって、対等な関係性を築き、共感や信頼を生み出します。

ポイント

日本の保育でも「一緒に遊ぶ」ことはしますが、ペダゴーはこれを「意図的なメソッド」として理論的に学び、実践します。

4. ペダゴーになるには? 教育課程と資格

ペダゴーになるためには、デンマーク国内にあるユニバーシティ・カレッジ(University College)で3年半の教育課程を修了する必要があります。

4-1. 教育カリキュラムの特徴

座学だけでなく、教育期間の約3分の1が「現場実習」に充てられます。

理論(学校)と実践(現場)を何度も往復することで、即戦力を養います。

4-2. 3つの専門コース

教育の後半では、以下の3つから専門分野を選択します。

  1. 幼児教育(Dagtilbud): 0〜5歳児の保育・教育。
  2. 学校・余暇教育(Skole- og fritid): 6〜18歳の学童や青少年クラブ。
  3. 社会・特殊教育(Social- og special): 障がい児・者、社会的養護、精神疾患ケアなど。

5. ペダゴーの年収と社会的課題

5-1. 平均年収

デンマークのペダゴーの平均月収は、経験年数や勤務地によりますが、おおよそ35,000〜40,000デンマーク・クローネ(DKK)前後です。 (※1DKK=約22円換算で、月収約77万〜88万円 / 年収約900万円〜)

「非常に高給」に見えますが、デンマークで生活するうえで以下の点を考慮する必要があります。

  • 高い税金: 所得税や消費税(25%)が高く、手取りは額面の6割程度になることも。
  • 物価: 生活コストは日本の1.5倍〜2倍程度。

5-2. 現在の課題:人手不足

現在、デンマークでもペダゴー不足は深刻な問題となっています。

より高い給与と労働環境の改善を求め、労働組合(BUPL)を中心としたデモ活動も活発に行われています。

6. 日本の教育・福祉がペダゴーから学べること

ペダゴーの制度をそのまま日本に導入することは難しいですが、デンマークのマインドセットは日本の現場でも大きなヒントになります。

  1. 「管理」から「対話」へ:
    子どもをコントロールするのではなく、一人の市民として意見を聞く(民主主義の練習)。
  2. 専門職としてのプライド:
    「誰でもできる仕事」ではなく、理論に裏打ちされた「専門職」としての地位確立。
  3. インクルーシブな視点:
    障がいの有無に関わらず、すべての人が社会に参加できる環境を作るコーディネーターとしての役割。

よくある質問(FAQ)

ここでは、ペダゴーに関するよくある疑問に回答します。

日本人がデンマークでペダゴーになれますか?

可能ですが、ハードルは高いです。養成校の授業は基本的にデンマーク語で行われるため、高度な語学力が必須です。また、就労ビザの取得条件も年々厳しくなっています。

ペダゴーの資格は日本で使えますか?

そのまま「保育士資格」として書き換えることはできません。ただし、日本の保育士試験を受験する際、海外の大学での単位が認められ、一部科目が免除される可能性はあります(個別の審査が必要です)。

なぜデンマークでは「遊び」を重視するのですか?

デンマークの教育法では「遊び」自体に価値があると定義されています。遊びを通じて、社会性、創造性、自己決定能力が育まれると考えられており、早期教育(読み書き計算)よりも優先されます。

まとめ:ペダゴーは「幸せな社会」を作るエンジニア

ペダゴーは単に子どもを預かる人ではありません。彼らは、民主主義社会を担う「自立した市民」を育てるための専門家です。

日本の保育・福祉の現場においても、ペダゴーが大切にする「共通の第三者」「対等な対話」の視点を取り入れることで、支援の質はさらに高まるはずです。

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