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子どもの社会性を育むには?保育・教育の場でできること

「お友だちと仲良くできる子になってほしい」「集団生活にちゃんと馴染めるか不安」
子育てや保育の現場で、そんな声を聞くことは少なくありません。その背景にあるのが、“社会性”という力です。

社会性とは、他者と関わりながら共に生きていくために欠かせない力。思いやりやルールの理解、感情のコントロールなど、子どもが社会の中で人と関係を築くうえでの土台となります。

では、子どもの社会性はどのように育まれるのでしょうか?
この記事では、保育や教育の場で私たち大人にできることを軸に、社会性を育てる具体的な関わり方を探っていきます。

目次

子どもの社会性を育むために大人ができること

子どもが社会性を身につけていくプロセスは、決して自然発生的なものではありません。
その成長の背景には、日々関わる大人の存在があります。特に保育や教育の現場では、集団の中でのやりとりや経験を通じて、子どもたちが人と関わる力を少しずつ身につけていきます。

ここでは、子どもたちの社会性を育むうえで、私たち大人にできる具体的なアプローチを見ていきましょう。

子ども同士の関わりを見守り、適切な介入をする

子どもたちは、友達と遊んだり、けんかをしたり、仲直りしたりするなかで、社会性を自然に学んでいきます。
「順番を守る」「自分の気持ちを伝える」「相手の立場を想像する」──こうした経験のひとつひとつが、社会の中で生きる力につながっています。

大人の役割は、そうした関わりを頭ごなしに止めるのではなく、必要なときにそっと手を差し伸べること
「今の場面、どうしたらよかったかな?」と投げかけてみることで、子ども自身が考え、学び、次につなげるきっかけになります。

集団生活のルールや人との関わり方を丁寧に伝える

保育園や学校では、さまざまな価値観を持った人たちと過ごす日常が広がっています。
その中で子どもは、社会のルールや他者との違いを肌で感じ、学んでいきます。

ただし、ルールをただ押しつけるだけでは、子どもは「怒られないための行動」に終始してしまい、本質的な理解にはつながりません。
だからこそ大人には、「なぜそうするのか」を、子どもの気持ちに寄り添いながら言葉にして伝える力が求められます。
たとえば、「〇〇くんが悲しい気持ちになるかもしれないね」といった言葉がけは、共感する心を育む第一歩になります。

子どもの行動の背景にある感情を理解する

癇癪や乱暴な言葉、無視など、いわゆる「困った行動」の背景には、子どもなりの理由や伝えたい感情が隠れていることが多くあります。
それは、「うまく言葉にできない」「自分の気持ちに気づいてほしい」というサインかもしれません。

大切なのは、目に見える行動だけで判断せず、その奥にある感情に寄り添うこと
「怖かったんだね」「悲しかったんだね」と、大人が気持ちを代弁することで、子どもは「わかってもらえた」という安心感を得て、少しずつ自分の気持ちを整理できるようになっていきます。

家庭と園・学校が連携して子どもを支える

社会性の育ちは、一貫性のある関わりによってより確かなものになります。
もし家庭と保育・教育の現場で異なる対応がされていれば、子どもは戸惑い、混乱してしまうこともあります。

そのためにも、家庭と現場が「子どもを中心にしたチーム」として連携することが重要です。
「今日は園でこんなことがあったよ」と共有したり、「園ではこう伝えているので、家でも同じ言葉で伝えましょう」と協力したりすることで、子どもの中に揺るぎない安心感と社会的スキルが育っていきます。

子どもの社会性を支える専門職の力とは?

こうした社会性の育ちは、日々子どもと向き合う大人の関わり方に大きく左右されます。
特に保育者・教育者の役割は、ただ知識や技術を教えるだけではなく、子どもの心に寄り添い、関係性の中で育ちを支えることが求められています。

その背景には、教育現場における価値観の変化があります。今、必要とされているのは「一方的に教える人」ではなく、「子どもと共に考え、成長を見守る伴走者」としての姿勢です。

保育者・教育者に求められる新しい専門性

保育や教育の現場では、子どもが集団の中でどう振る舞うかに注目が集まりがちです。
しかし本当に大切なのは、その子がどんな気持ちでそこにいるのかを捉える力
一人ひとりの背景や個性に目を向け、対話を重ね、信頼を築くことが、子どもの社会性の根を育てることにつながります。

こうした視点を持つ大人は、「管理者」ではなく「関係の専門家」としての在り方が求められているのです。

子どもと大人の関係性を調整する「ペダゴー」という存在

ここでひとつご紹介したいのが、北欧・デンマークの専門職「ペダゴー(Pædagog)」です。この職は保育・教育・福祉といった複数の領域を横断しながら、子どもと社会との関係をなめらかに調整するプロフェッショナルとして機能しています。

ペダゴーは、家庭・施設・学校の間を橋渡しし、子どもの「今ここ」に寄り添いながら、その発達を多角的にサポートします。
日本でもこうした視点は注目され始めており、保育者や教育者の新たなロールモデルとして、社会的なニーズが高まりつつあります。

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社会性を育てる保育・教育者を目指す方へ

子どもの社会性を育むには、大人自身が“育ち”を見つめ直すことが出発点になります。
日々の関わりに迷ったり、子どもとの距離感に悩んだりしたとき、必要なのはテクニック以上に、本質的な「対話」と「まなざし」です。

そんな学びと実践を結ぶ場として、私たちはフィーノリッケペダゴー資格認定講座をご用意しました。

この講座では、北欧・デンマークの教育の観点をベースに、信頼・共感・自立支援といった価値観に基づく関わり方を体系的に学ぶことができます。
現場での関わりに行き詰まりを感じている方、より深い専門性を身につけたい保育者・教育者にとって、実践と理論をつなぐ架け橋となるはずです。

フィーノリッケペダゴー資格認定講座」は、デンマークの教育専門職「ペダゴー(Pædagog)」の理念と実践を基に、日本の保育・教育現場に適応した民間資格プログラムです。

この講座は、子どもの社会性や感情理解を育むための対話的・実践的なスキルを習得することを目的としています。

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